« 建つ園閉じる園 | トップページ | 幸せでいたいから »

育児休業の制度について

4月21日、

政府が育児休業法の改正案を閣議決定したそうです

あまり政治のことは詳しくありませんが、

一児の子を抱え働く身であり、

かつ、経理・人事を担当する者として、

関心を持たずにいられません。

なので、思いをここに書こうと思います。

現行制度では、

労使協定で専業主婦の妻を持つ

男性従業員を、育児休業の対象外とできますが、

これを廃止するそうです。

また、虚偽報告や「育休切り」をした企業に対する

企業名の公表や、罰則の強化なども盛り込まれます。

会社側には、締め付けが厳しくなりますが、

育児休業が、少なくとも今よりは取得しやすくなる、

期待してもいい、と感じています。

ただ、懸念が一つあります。

会社側の事情です。

従業員の休業取得は、会社にとっては痛手です。

法定されているにせよ、

労働者や子どもの権利を尊重するにせよ、

これは、事実として踏まえるべきでしょう。

育児休業中は、当然、賃金支払義務はありません。

が、それよりも、代替要員の確保と育成、

休業や給付申請にかかる事務手続きなど、

かかる経費や時間は、遥かに大きいはずです。

ましてや、このために誰かが

サービス残業や過重労働に陥っては、

本末転倒もいいところ。

この「痛手」は、会社の規模に反比例し、

小さければ小さいほど、大きくなるでしょう。

たとえ善意の事業主でも、

「快くとらせてあげたいけど、正直、辛いな~」

と言うのが、多くの方の本音でしょうし、

理解のない事業主なら、

迷わず嫌な顔をするかもしれません。

この時、明らかに形ある行為をすれば、

法は労働者を守ってくれるかもしれません。

ですが、上司や同僚を巻き込んでの

「空気」からは、守ってくれません。

そして、多くの働く人は、

法よりも、「空気」の中で仕事をしているのです。

それが、いいか悪いかはともかく。

育児休業はしたけど、

給付ももらって復職もしたけど、

復職後の職場が針の筵では意味ありません。

「痛手」が原因で、倒産でもしたら、

もっと意味ありません(今の不況下、

そうなりそうな会社は、多いと思います)

休業した人は、

労働基準監督署に復職するのではありません。

元の職場に、復職するのです。

であれば、元の職場に復職しやすいこと、

政府や行政には、ここまで考えてほしいのです。

労働行政は、会社を「悪者」にしがちですが、

労働者と会社は、運命共同体。

労働者だけを守っていても、

労働者の権利は実現されません。

確かに、今回の改正で、

ある程度とりやすい雰囲気にはなるかもしれません。

が、その実効性は完全ではないでしょう。

育児休業を取得させた会社に対し、

「痛手」までフォローするだけの、

何らかの給付なり、認定なりがあるべきと思います。

ムチだけではなく、アメも、と言いましょうか。

「あなたの育児休業が、会社にもプラスなんですよ」

って、上司が心から言える環境になってほしいですね。

|

« 建つ園閉じる園 | トップページ | 幸せでいたいから »

育児」カテゴリの記事

コメント

女性が子供を出産し育児をしながら働くには
まっだまだ問題が山積みですよね・・・
私も育休2回取るには・・・まさしくその「空気」には
正直悩みました(もちろん応援してくれる方もたくさんでしたが)
知識のない人からは
育休や産休中にも会社から給料が払われてると
思われてたり・・・
とにかく周りの理解があると力強いですけど・・・
現実には難しいことも多いようですね・・・
すとれちあ。さんが最後におっしゃったような環境に
なっていくことを祈ります。

投稿: ぴぐもん | 2009年4月23日 (木) 21時54分

育児休業制度が昨日するのは、残念ながら、今の日本では、女性がたくさん働いている大企業でしょうねえ。どうしても男性中心の中小企業では、なかなか女性の労働力を必要としつつも、調整弁として使われているのが現実のよう。。。特にこんな時代ではね。
でも、20年先を考えると女性も男性も働かないと経済状況が立ちゆかなくなるでしょうからね。そのことに気付きながらも変えていけない企業さん達を動かすのはやはり女性の勇気と行動が第一かもしれませんね

投稿: ゆうまま | 2009年4月23日 (木) 23時05分

ぴぐもんさん おじゃりやれ

ぴぐもんさんは育児休業のヴェテランさんなんですね
私は経理なので、休業中は無賃金って知っていますが、
それを知らない方も多くいそうですね(ちょっと見落としてました)。
その方々が「俺たちの稼いだ金を…」ってなるのは、自然なことですね
(その方々の不勉強と言えばそれまでですが)。
ともあれ、制度が整っても、実績が伴って来ないと
この「空気」は変わらないでしょう。
取得される方は、自分や子のためだけでなく、
後輩のためにもなる、と思って堂々と取得してほしいものです。

投稿: すとれちあ。 | 2009年4月24日 (金) 16時09分

ゆうままさん おじゃりやれ

私自身は女性ばかりの職場なのであまり実感ありませんが 一般社会はまだまだ男性中心なのでしょうね(私は、女性が男性並になるのではなく、どちらかと言えば男性が女性の生き方に近付くべきと考えてますが)
働き手の意味からも 社会の仕組み・消費者とのコンタクトの意味でも 女性をいかさないといけないと思います(女性のため、男性のため、社会全体のため)

投稿: すとれちあ。 | 2009年4月24日 (金) 21時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 育児休業の制度について:

« 建つ園閉じる園 | トップページ | 幸せでいたいから »