« 虫の命を無視するな | トップページ | 我思う、故に我あり »

帆の下のアクシデントレポート

ヨットが好き、で

過去に何回か、クルーズの記事を書きました。

海の上で、風を繰って帆走する爽快感は

この上ないものです。

が、本当はいいことばかりではありません。

陸の上の生き物である人間が、

海の上で、それも風と水という自然を御するヨット、

一たび間違えば、命をも落としかねません。

私も、自分の判断や技術の甘さにより、

怖い思い、痛い思いを何度もしました。

この経験、ヨットに乗る者ばかりではなく、

多くの場合、陸の上でも一般生活でも、

特に海水浴など、水に親しむこれからの季節、

反面教師として参考になるのではないか、と思い

これを、シリーズとして書いていきたいと思います。

今回は、その1回目。

テーマは「沈(チン)

浮力のあるヨットは、絶対に沈みません。

なので「沈」とは、沈没ではなく、転覆を意味します。

これは、ヨットでもウィンドサーフィンでも共通。

ただ、マストだけが倒れるウィンドサーフィンと違い、

ヨットの沈は船体そのものがひっくり返るので、

即ち、海に投げ出されます。冬なら、最悪です

イメージは恐ろしいのですが、

実は最も身近なアクシデント。

縦長の船が、横から風を受けるのだから、

ヨットは簡単に、横に倒れます。

被害も、冷たいとか、帆や積み荷(私ならお菓子とか)

が濡れるとか、せいぜいその程度。

自転車の転倒よりはずっと安全で、

車のエンスト(今はしませんよね)くらいのものです。

船から落とされても、鉄棒の懸垂のように、

水面に横たわった船体の下から出るセンターボードに

体重をかければ、ヨットは静かに、元の状態に戻ります。

但しこれ、他の条件が重ならなければ、の話。

起こし方が乱暴だと、起きたヨットが反対側

(つまり自分が乗っている側)に倒れてきます。

下手をしたら頭を打たれるし、

起こしたいのに起こせないと、気が滅入ります。

また、本当に風が強かったり、油断したりすると、

横に倒れるのではなく、上下さかさまになる「完沈」。

こうなると、起こすのは大変。積み荷も、全滅です。

最悪なのは、波に舳先が突っ込んで、

船体がでんぐり返しになる「バウ沈」。

私はまだ経験がありませんが、確実に完沈になるし、

人間も荷物も、船の前に投げ出されるし(轢かれる事も)

暗礁があったりすると(波が立つ=暗礁or浅瀬なので)

マストが折れてしまったり、船体も無事では済みません。

ですが、多くの沈は、やはりポピュラーなもの。

ヨットは、沈を経験して上達するものです。

最初に、私は「10回沈したら一人前」と言われました。

実は、とっくに10回以上やらかしていますが、

まだ一人前とは言えません。

うぅ、先輩の嘘つき~!

でも、技術はまだまだでも、

沈に慣れた事で、沈が怖くなくなり、

沈をしそうな状況でも、した時でも、

冷静でいられたり、冒険できるようになったのは確か。

トラブル対応に慣れると、自分に幅ができますね

|

« 虫の命を無視するな | トップページ | 我思う、故に我あり »

」カテゴリの記事

コメント

こここ、こわ~・・・
転覆しちゃうんですか?もちろんしたはものすご~く深い海なんですよね?
海は見ているのは大好きです。足が着かないところまでは行けなかったのですが、去年西伊豆で初めて足の着かないところに行って感激しました!!ヨット、気持ち良いんでしょうねえ。。
ウラヤマシイです。ワタシにはきっと絶対出来ないスポーツ(?)のひとつです。

投稿: ゆうまま | 2009年7月11日 (土) 23時30分

すとれちあ。さん
そこなんですよね。。。こわい~!
私、もともと恐がりの臆病者で(^_^;)
海は、沖縄のケラマ諸島でシュノーケリングをした時に
魅了されたんですが・・・なんだかやっぱり海の上では
安心できなくて、ドキドキ・・・
船は平気だけど、小さくて自分でこぐのは恐いかも。
ましてヨットなんて!
浮き輪に座っていて、まっさかさまになってしまった
幼い頃の自分を思い出しますよ!!これは
忘れられない恐い思い出なんです~
すとれちあ。さん、尊敬します~!
トラブルの対応に慣れていくなんて・・・。
本当に海が好きなんですね

投稿: ゆめ | 2009年7月12日 (日) 01時03分

ゆうままさん おじゃりやれ

そうですねぇ。私は深いところでしか転覆したこと、ないです。
でも、ヨットに限らず、他のマリンスポーツでも(海水浴でも)言えますが、
浅いところは深いところより怖い気がします。
波も立つし、身体のバランスもとりにくいし。
逆に、深いところは冷静ささえ保てば、何かあっても何とかなる、
って思います。

投稿: すとれちあ。 | 2009年7月13日 (月) 10時08分

ゆめさん おじゃりやれ

海の上では安心できない、それは私も同じです
ヨットやダイヴィングの後、陸に上がると、すっごく安心するし、
むしろその安心感のために海に入っているんじゃないか、って思います。
私は陸の生き物である、これが私を海に駆り立てる理由の1つなんです。

子もんすてら。も、毎年浮輪でひっくり返って大泣きしていますが、
やはり海好きは変わらない…、遺伝でしょうかね。

ほとんどの方に縁のないヨットですが、
せめてこのページから、その気持ちよさを伝えられたら、と思います。
ゆめさんのブログから、美味しさといい香りが漂っているように

投稿: すとれちあ。 | 2009年7月13日 (月) 10時17分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 帆の下のアクシデントレポート:

« 虫の命を無視するな | トップページ | 我思う、故に我あり »