子どもに罪はないのに…
保育園で働いていると、毎日、
子どもと笑ったり、怒ったり、泣いたり、
そんな日々が楽しくて仕方ありません。
でも、それも全て、年長クラスの3月、
卒園式には楽しい思い出として
子どもたちは羽ばたいていきます。
私たちも、ひとつひとつの記憶を大切にして、
ちょっとほろ苦い、でも笑顔で送り出します。
無認可保育園や幼稚園では、
認可保育園に入れることが決定したから、と
途中退園するケースもある、それを考えたら、
ほぼ全員を、卒園するまで一緒に過ごせる、
そんな果報な職を、感謝せずいられません。
しかし、だからこそ、と言いましょうか、
たまの途中退園はよくよくのことが多いです。
親の転勤とかなら、
(背中で泣いても)笑顔で見送れるのですが…。
お盆近い頃、こんなこともありました。
4歳児クラスのC君が無断欠席。
家や保護者の携帯電話に電話しても繋がりません。
時期も時期だし、旅行かも、と思いましたが、
2~3日続いたので、職場に電話してみました。
すると、職場にも無断欠勤しているとか。
となると、事態は楽観できません。
家にも訪問しましたが、誰もいません。
お母様の実家に電話しても、来ていないとか。
こんなご時世、「夜逃げかも」とも思われました。
とにかく、私たちには打つ手もなし。
騒いで迷惑になってもいけないので、
更に数日、様子を見ることにしました。
すると、お母様から電話が入りました。
「急遽離婚した、居場所は言えない、
申し訳ないが、退園の手続きをしたいが
事情あり、すぐには園や区役所には行けない
この電話があったことも、口外しないでほしい」
とのことでした。
何らかの形で、実家から連絡を受けたのでしょうね。
いえ、もしかしたらご実家に
「居留守」をしていたのかもしれません。
私たちは「DVだろう」と直感しました。
が、それはあくまでも推測です。
私たちは、事実を決めつけることも、
この父母をどう評価することも、許されません。
が、確実なのが1つ。
「幼いC君にとって、望ましくない何か」が
そこにはあったということ。
どんなであれ、親が急遽離婚し、住む場を離れる、
このことが、こうなるだけの経緯が
子どもの心に傷をつけない訳がありません。
後日、C君の母親が退園手続きにきました。
土曜日の夜、他の園児も職員もいない時間、
C君を連れずに、ごく短時間だけ。
私たちは、その時に渡せるよう、
精一杯、思い出の品をつくりました。
楽しく友達と遊ぶC君、職員だけの寄せ書き…。
それを渡すこと、それしか、できませんでした。
受け取ったC君ママ、
一礼だけしてすぐに帰って行きました。
一刻も早く、園から出る他なかったのでしょうね。
子どもは、あそびの天才です。
どんな状況も、楽しむ力を持っています。
が、それは温かい人間関係に支えられてこそ、です。
夫婦、家族、大切にしましょうね。
えぇ、我が身を省みて、恥じるばかりですが…。
※個人情報を推測できないように、
書かれた事実(年齢や時期等)は
実際とは違えて書きました。
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コメント
こんばんは
C君のお母様のお話
ワタシもDVじゃないかとおもいました・。。。。
うちのお客さんにもいらっしゃいます。
子どもの心に深い傷が残る出来事がなければよいのですが。。。難しい問題です。
すべての子どもが幸せになれるわけではない。辛い現実ですね。
投稿: ゆうまま | 2010年1月11日 (月) 20時15分
むずかしいなぁ。
第三者の立場から、なんともしてあげられないのが辛いですね。
せめて、C君がまっすぐ育ってくれるのを祈るばかりです。
投稿: クロッカス | 2010年1月11日 (月) 23時53分
切ないですねえ・・・。子供に罪はない・・・
本当にそうですよね。
大人の都合で(どういう状況にしろ)犠牲になるのは
どうしても子供です。
でもきっとC君にとっても最善の環境に変わろう!と
されたのかもしれませんしね!
保育園の先生やお友達との経験も消えることはないでしょうし
いろんなことがあっても明るく元気に育っていける
新しい環境に移られたことを期待します・・・
自分も普段の行動を考えて反省です・・・
投稿: ぴぐもん | 2010年1月12日 (火) 15時35分
ゆうままさん おじゃりやれ
そうですね、私たち全員が、DVを疑いました。
ただ、それは「私たちがすべきこと」には、
何ら影響を与えてはいけないことでもあると思います。
成長の過程で、心に傷を負わずに育つ子はいないのでしょうが
(いたとしたら、それはそれで後が心配かも)
せめてその経験が、プラスに転じるくらいの傷であってほしいし、
それくらいたくましい子に育ってほしいですね。
子どもも大人も、男性も女性も、精一杯生きているだけでしょうから。
投稿: すとれちあ。 | 2010年1月13日 (水) 11時49分
クロッカスさん おじゃりやれ
おっしゃる通り、何もできないのが、歯がゆいばかりです。
C君に対しては、幸せを祈ること、
そして今目の前にいる子どももたちには、私たちができる
ベストをつくすだけです。
投稿: すとれちあ。 | 2010年1月13日 (水) 11時51分
ぴぐもんさん おじゃりやれ
ぴぐもんさんのような、明るく前向きな受け止め方をされる方、
そんな方ばかりなら、きっと世の中、もっと子どもが育ちやすいでしょうね
本当に、そうあってくれたら、と願うばかりです。
そして、その可能性も少なからずありうるし。
何だか、希望の光をもらえた気分でした
投稿: すとれちあ。 | 2010年1月13日 (水) 12時56分