保育現場から見た日本Ⅱ
前回に引き続き、
私が感じる日本社会の問題点と
日本の保育の関係について、書きたいと思います。
日本が住みよくないのは、日本人に自信・自尊心がないから、
と前回書きました。
ある人が自信ない事は、
その人だけの問題ではなく、周囲の人にも影響します。
例えば、自分が貴重な存在と思えないと、
人を貴重とは思えません、優しくできません。
優しくされなかった人は、自尊心を保つのが難しく、
また他の人を尊重するのが難しくなります。
自尊心のない人たちの再生産、悪循環になります。
それが今の日本社会、私の印象です。
ここで言う自尊心とは、能力や豊かさではなく、
「自分が自分であること、それ自体貴重なこと」
って思える気持ち、と理解して下さい。
私はこれを、基本的人権に倣って
「基本的自尊心」と呼びたいと思います。
基本的人権が、その人の能力や豊かさではなく、
ヒトが人であるだけで、当然尊重される権利であるように、
ヒトが人であるだけで、当然あってしかるべき自尊心、
だから、勉強や仕事を頑張ったり、
ましてや経済政策なんかには期待できません。
それは、人間の本質からはほど遠い、
言ってしまえば、薄っぺらな自尊心だと思います。
では、この「基本的自尊心」、どう培うのでしょう?
人間を建物と例えて、幼児期はその基礎工事に例えられます。
完成した建築物(大人)を見ても、それは目立たないけど、
基礎がそれを下支えしていて、そこが弱いと崩れやすい、
砂上楼閣になってしまうし、何より重要なのは、
完成した後、作り直しや修繕は難しいことが挙げられます。
職業、最終学歴や資格、その他の「目立つ能力」は、
建物で言う内装外装、いえ建具かもしれません。
それは目立つけど、やり直しも修繕も容易です。
就職も受験も資格取得も、何度でも挑戦できますが、
幼児期の経験は、そうはいきません。
人間にとってのこの重要な部分、
これを担うのが保育や幼児教育なのです。
もし、「目立つ能力」ばかりを重視して、
人間としての基礎、幼児期を重んじないとしたら、
バブル期のマンションみたいな人が育てられそうです。
ですから、さっき書いた「基本的自尊心」、
これと幼児期の経験があまりに密接な事は
言うまでもないと思います。
その時、どう処遇されたか、
接してくれた大人の抱く気持ち(愛情とか)、
そんなのが、(なかなか因果関係を説明できないけど)
大人になっての「基本的自尊心」に繋がると思います。
「三つ子の魂百までも」とはよく言ったものです。
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コメント
前回のⅠから拝読して、色々考えさせられています!
今の社会のさまざまな問題はこういう
もともと人が根底に持っているべき自尊心の
無さやゆがみ。が原因なんでしょうね・・・
今、自分自身にもそうですが
子供達の
「基本的自尊心」という立派な
土台を作りあげるような毎日を過ごしていきたものです!!
生きる。そのものの喜びと愛情が
自然と伝わっていてくれたらなあ
そのためにも自分もまずは
そうありたいし、あるべきですよね
投稿: ぴぐもん | 2010年5月26日 (水) 17時11分
ぴぐもんさん おじゃりやれ
私は、今の日本社会、「困ったもんだ」って思っています
(捨てたもんじゃないな、って思うことも多いですけどね)。
同じ意識の人も多いと思いますし、幼児期を大切に考える人も
私の周りには大勢いますが(職業柄、当然と言えば当然ですが)
それらを貫いて考える人にはあまりお会いしたことがありません。
社会って人間が構成してるもの、人間って仕事や勉強をする前から
人間なんだから、人間の根本をちゃんとしないと、
社会がよくなる訳ない、って私は考えています。
とすると、(ここから先は次回書きますが)
大切なのは子どもの日々の生活なんです。
ぴぐもんさんのお子さん、素敵な毎日を送られているから
きっと、素晴らしい大人になりそうですね
投稿: すとれちあ。 | 2010年5月27日 (木) 21時10分