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幼稚園と保育園の「誤解」

私は、小学校の頃、成績はクラスでトップでした。

中学1年で始めた英語も、毎回100点でした。

そして、私と同じく好成績の男の子がいました。

私も彼も、決してガリ勉タイプではありません。

私は、公立幼稚園の出身です。

在園中、いろいろな保育を受けましたが、

勉強の類は一切しませんでした。

彼も、他県の公立幼稚園の出身でした。

恐らく、受けた保育は似たようなものでしょう。

学区内には、英語や算数を教える

「お勉強重視」の幼稚園・保育園もありました。

その子たちは、小学校入学時に

いくつかの英語を知っていましたが、

実際の勉強で負けたと感じた事はありません。

中学に入ってからの英語の成績でも同じです。

別に自慢がしたい訳ではありません。

ただ、この事実から「何か」が見えませんか?

誤解を恐れずに言ってしまえば、私は

早期教育はあまりにも無力ではないか、と感じるのです。

「好きこそものの上手なれ」と言う諺があります。

発達心理学では、「レディネス」と言いますが、

子どもの吸収力は興味を持った時に最大の力を発揮します。

だから、レディネス前に覚えた知識は、

レディネスを迎えた子に、あっという間に追いつかれます。

「お勉強」重視の幼稚園・保育園の子が、

私達にすぐ追い越された事実、何も不思議ではありません。

子どもには、確かに素晴らしい吸収力があります。

でも、それは「生きるためのいろんなこと」を

身につけるための吸収力なのです。

そして、生活やあそびの中に、そのエッセンスはあります。

「お勉強」そのものが悪いとは思いませんが、

その比重を高めてしまうこと、

大人の目がそこばかりに行ってしまうと、

その「生きるためのエッセンス」を削いでしまいます。

子どもには、生活とあそびこそが、最大の教材なのです。

「幼稚園は保育園よりもお勉強をさせる」

というのも、誤解だと思います。

幼稚園教育要領も、保育所保育指針も、

内容は同じものに統一されています。

確かに「お勉強」をさせるのは幼稚園の方が多いけど、

それは各園任意のオプションに過ぎません。

「お勉強」する保育園もありますし、

私の出身のようにしない幼稚園もあります。

上記のような二分化は、各園の実態を見誤らせます。

では、何故多くの幼稚園は

「お勉強」のオプションをつけるのでしょう?

ここに、今の保育制度改革のキーがある気がします。

と、それについては次回書くことにします。

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コメント

うちの子どもたちが通った幼稚園の園長先生が、「幼稚園は保育園とは違います。お勉強をするところです。」って言われたことが゜あるんですが、ちょっと疑問に思いましたよ。
だって、私が以前勤めてた保育園では、お勉強させていましたもん。

今ではう子どもたちはみんな小学生になりましたが、やっぱり一番大切なのは、生きる力を養うことだと痛感しています。
基本的な生活習慣や、人とのかかわり方などが身についていれば、自然とお勉強はできてしまうものだと思います。

ちょっと大げさかしら。

投稿: クロ | 2010年11月19日 (金) 00時12分

クロさん おじゃりやれ

いろんな幼稚園・保育園があっていいと思いますが、
違いはそこではないでしょうし、それが子どもの吸収すべき
最優先の事でもないと思います。
ただ、預かるだけでも最低限の存在意義を果たせる保育園と違い、
幼稚園は「何か」をしないとそれを果たせない事情はあるでしょうね。
保護者の要求も保育園より高いでしょうし。

生活や関わり→生きる力→自然とお勉強、
は決して大げさではないと思います。
もちろん、生きる力が学力に繋がらない子もいるでしょうが、
それは「生きる力」を育てる事が悪いのではなく、それを正当に
評価できない「お勉強」が、片面的なものに過ぎないと言うこと。
先にありきは「生きる力」であって、「お勉強」ではありませんよね。

ただ、ここから先は同業者のクロさんだから言うのですが、
私は決して、お勉強そのものが悪いとは思っていません。
むしろ、素晴らしい可能性を秘めているものだと思います。
だから、小学校の先取りとしてのお勉強ではなく、
乳幼児期だからこそできるお勉強も、もしかしたらあるのではないか、
そこに新しい保育の発展の可能性があるのではないか、と
漠然と思っています。
あくまでも漠然と思っているだけですけどね。

投稿: すとれちあ。 | 2010年11月19日 (金) 09時23分

幼稚園児を持つ親として
とても興味深いお話しです!
正直、少しはお勉強に近いことも教えてくれると
助かるなあ~~なんて気持ちもあったりしますね(汗)
もちろん一番は
集団生活とか遊びを通じて色んなことを学ぶこと
感性を豊かにすることだったりなんですけど!

どうしても目の前にある小学校に向けて
勉強そのものより
勉強する体制?っていうか
(たとえば少しはじっと集中できるとか・・・)
を身につけてくれれば~~・・・なんて思ってしまいます

でもそれは親の勝手な考えかもしれませんね・・・
子供は興味があれば
集中もするし
もちろん吸収も早いですもんね!

何事もまず子供達の意欲を引き出せる環境が
大切ですね~~

投稿: ぴぐもん | 2010年11月22日 (月) 11時53分

ぴぐもんさん おじゃりやれ

程度問題でしょうね。
いろんな子がいて、いろんな保育があっていいと思うし、
「お勉強」も、オプションであるうちは、その「いろいろ」の
一環であってもいいのかもしれません。
ましてや、その習う内容に、確実に子どもは興味を持ちますから。
ただ、私たちは欲深いので、
ついつい「楽しい・興味」以上のものを求めてしまいがち。
そこにこの問題の、難しさがあるのでしょうね。
問われているのは、子どもたちの学力でなく、
私たち大人の姿勢な気がします。

投稿: すとれちあ。 | 2010年11月24日 (水) 17時59分

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