悲痛なこと~認可外保育園で
昨年の秋、私の勤めるぱいなぷる保育園と
交流のある法人が運営する認可外保育園で
午睡中に乳児が死亡する事故がありました。
死因は、睡眠時無呼吸症候群。
保育士の目が行き届いていれば、防ぎ得ました。
折に触れ、この法人の役職員と私たちは、
「子どもにとって、より良い保育とは」と
学び合ってきました。
親しい園だから言う訳ではありませんが、
良心的な法人・園だと私は感じています。
そして先週末、さいたま市の認可外保育園で
似たような事故が発生しました。
死因等、詳しくはまだ調査中のようですが。
私はこの法人・園を知っている訳ではありませんが、
インターネットで拝見する限り、
しっかりした保育理念と楽しそうな保育の光景。
このような事故があったとはいえ、
決して悪質な法人ではないような気がします。
二つの事故に通じているのは
保育士の把握ができていれば、恐らく防げたこと、
それと、認可外保育園での事故と言うこと。
「ほいくえん」って一言で言っても、
認可保育園と認可外保育園では、
設置基準や人員配置基準が違います
(保護者負担の保育料も違います)。
認可保育園や幼稚園に入るまでの
「腰かけ利用」も多く、園児の在籍は流動的で
保育士と園児の関係性も築きにくい。
似てはいるけど、全く違う施設と思っていいでしょう。
認可外でも熱意や誠意のある園はたくさんあります。
確たる理念あるが故に、あえて認可外であり続ける、
そんな園もあるそうです。
ですから、認可外=悪いとは言いませんが、
トータルでの内容が劣るのは否めません。
調査によると、全国の認可外の利用児数は
認可利用児の1割程度だそうですが、
こう言った死亡事故件数は、認可外の方が多い
(つまり、単純な発生率は10倍以上です)、
この事実は、その1つの証明になるでしょう。
事故を起こした園や保育士だけが悪いのではない、
それだけ危険で過酷な保育環境が、そこにあるのです。
今、進められている「子ども子育て新システム」、
ここで描かれている「こども園」は
幼稚園や認可保育園よりも基準が緩く、
営利企業が参入しやすい、
また、自由契約で成り立つなど、
その全体イメージは、幼稚園・認可保育園よりも
認可外保育園に近いものと言っていいと思います。
同じ轍を繰り返さないか、懸念が消えません。
最後になりましたが、亡くなった乳児さんに、
心からのご冥福をお祈りいたします。
同じ業に就く者として、
過ちを繰り返さない決意を添えて。
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コメント
こんにちは
保育園はいのちを預かる現場です
特に0歳、1歳のお子さんたちは
目が離せないことでしょう。。。。
それでも起きてしまうこうした事故に胸が痛みます
保育の質の問題はとても大切なことですよね
まずは数が集まればいいや~
ではないんですよね。。。
ホントに保育園の問題は難しいです
投稿: ゆうまま | 2011年2月17日 (木) 22時08分
ゆうままさんがおっしゃる、命を預かる場所、という言葉。
確かにそうですね。
生まれてまだ、自分で自分のことが管理できない
赤ちゃんもいる保育園。
認可外の保育園の人たちも、きっと全力で
子供たちのお世話などをしていることでしょうけれど
やはり、配置基準や人数などの差なんでしょうか・・・。
心が痛みます。
投稿: ゆめ | 2011年2月23日 (水) 10時14分
ゆうままさん おじゃりやれ
待機児問題が取り沙汰されていますが、
待機児数って数だけで追ってしまうと、
どうしても主役は大人になってしまうんです。
でも、数字だけで追った結果は、
こうした「数字」にも出てしまうんですね。
もちろん、予算や人員確保の問題もあるので、
「園を増やせばいいや~」ではないのですが、難しいですね。
投稿: すとれちあ。 | 2011年2月23日 (水) 17時40分
ゆめさん おじゃりやれ
そうですね、記事では、認可外保育園を危険・質は落ちると
(端的に言ってしまえば)書いていますが、
別に認可外の園や保育士を悪く言うつもりはないんです
(むしろ、その条件の劣悪さ故に、その運営と労働条件は
より苦しいというのも伝えたいくらい…)。
ただ、保育園って言っても全く違うもので、
いっしょくたに論じてしまうと、子どもが犠牲になる、
このままじゃいけない、というのは伝えたいところです。
投稿: すとれちあ。 | 2011年2月23日 (水) 17時44分