学生の頃、試験で間違えた問題、
「今度同じ問題が出たら…」って思ったこと、
誰でもあると思います。
でも、同じ問題が出ることはほとんどない。
多少なりともパターンが違ったりして、
「それだけ」がわかっても改善にはなりません。
今朝、携帯電話で撮った写真です。
満員の京浜急行の電車が、黄金町駅を通過するところ。
横浜・東京方面へ大勢の通勤客を運ぶ、いつもの光景。
66年前の一昨日、ここで起きたことを
意識に留めている人は、そう多くはないでしょう。
昭和20年5月29日、横浜大空襲。
その日の朝9時30分頃、
横浜の空に連合国軍の大編隊が迫り、
震災から立ち直ったばかりの町を焼き尽くしました。
空襲警報で、最寄りの黄金町駅に停車した京浜電気鉄道、
乗客たちの多くは、高架下に避難したそうです。
折しもその時、その頭上で焼夷弾が炸裂し、
業火の滝が人々を襲いました。
東京の言問橋と並び、悲しい記憶がそこに焼きつきました。
私は以前、横浜大空襲について書いた時、
平和を守るには「知ること」が大切ではないか、
と書きました。
過去の記憶は、多くの教えを授けてくれるでしょう。
さて、冒頭にも書きましたが、
この記憶を想起した人、多くはいなかったように思います。
新聞やニュースの話題は、ほとんどが震災関連、
それ以外の報道は、ほとんどありません。
視聴者・読者の関心が薄いせいから報道しないのか、
報道しないから視聴者・読者の関心が薄いのか。
その震災関連のニュースでは、
「想定内・想定外」と言う言葉がしばしば聞かれます。
でも、災害や事件は、どこまで想定できるのでしょう。
起きる事象が一つなら、ある程度は想定できます。
が、同時に複合的に起きることは、想定しきれません。
地震と台風や火山の噴火が同時に起きたら、
国際緊張が高まっていて、海外からの支援がなかったら、
テロやストライキ、不祥事などの人的条件が重なったら…。
一つの災害時に、他の事件が重ならない保証は、ありません。
「備えあれば憂いなし」と言いますが、
これはあくまでも心がけの話。
どんな防潮堤を築こうが、最強の軍隊を並べようが、
実際は、全てに応じられる「備え」なんて不可能です。
では、私たちはこれらに、無力なのでしょうか。
最終的に、防ぎえない事態はあると思います。
でも、ベストは尽くすことができる。
その道筋として、過去の教訓を最大限に活かしたい。
今は、どうでしょう?
地震の後は地震の話、飛行機が落ちれば飛行機の話題ばかり。
横浜大空襲の悲劇と今の原発の事態は、
「神話の崩壊」と言う点でとても似ています。
また、先日「三宅島を忘れないで」と書きましたが、
今回の避難・復興に、三宅島の経験を活かさないのは
あまりにもったいないと思います。
過去の経験を活かしきっているとはとても言えないし、
今の経験が将来、活かしきれるとも思えません。
このままでは、今後起きる大災害も全て「想定外」でしょう。
直近の一つの話題に終始しないで、
いろいろな過去の経験から柔軟に学ぶ。
これが、「想定外」に対する
「備え」の第一歩ではないでしょうか。
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