技に溺れたオリオン
真夏の夜空、南に輝くアンタレス
私はさそり座~誰ですか?歌ってんの
子どもの頃、夏を代表するこの美しい星座と
その心臓に輝く一等星が誇らしかったのを覚えています。
このさそりが沈むと秋、そして「さそりの居ぬ間に」と
コソコソ東の空に上る星座をご存知ですか?
北半球で唯一、2つの一等星を持ち、
三つ星や大星雲で有名な、星座の代表格、
ギリシャ神話の英雄の一人、オリオン座です(修飾が長いよ)。
このオリオンは、さそりに刺されて死んだため、
さそりから逃げ回っている、と言われています。と言うのも…
狩りの名人オリオンは「世界の獣は俺の餌食だ」と鼻高々。
しかし、生きとし生きるものみな、大地の恵み、
それを忘れたオリオンに、大地の神ガイアが怒りました。
そして放たれた刺客(さそり)に
オリオンはあっけなく殺されてしまいました…。
技術や能力に溺れ、畏れや感謝を忘れてはならない、
バベルの塔、タイタニック号、世界に遍く伝わる訓話です。
現代の私たちはどうでしょうか?
例えばゼロエミッションという概念。
環境保全への関心が高まる中、
環境負荷ゼロ、という理念は素晴らしいのですが、
果たしてできるでしょうか?
電気や水素で走る自動車、太陽光や風力の発電、
その効果は確かにあるのでしょうが、
「負荷ゼロではない⇒根本的解決ではない」でしょう。
なのに、使う私たちに「負荷ゼロ」と錯覚させてしまう。
ここに、大きな落とし穴がある気がします。
今から思えばショッキングな話ですが、
東日本大震災以前は、原発をゼロエミッション
(と言う言葉ではないまでも、それに近いもの)
と感じていた人は、かなりいたと思います。
確かに、一面から見たら負荷は少ないし
供給も安定しているスグレモノ。
でもそれは、「一面から見たら」ですよね。
今言われているスグレモノも、
ある面から見たら、全く違う影響があるかもしれません。
どんな優れた環境技術よりもみんなが自然に感謝する気持ち、
効果に多少時間はかかっても、これが環境保全になると思います。
技術に溺れて「これでよし」と思っていて
背後にある毒針に気づかない、そんな事のないように。
そうそう、今、さそり座の頭の先、
20時頃なら南西の方角に土星・火星・おとめ座のスピカと
3つの明るい星がすぐ近くにタテ一直線になってます。
なかなかの景色なので、夕食後にでもご覧下さいませ~。
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